世界の気温が上昇しつづける

昨年の夏はかってない猛暑が続き、世界各地で大規模な自然災害が 起きている。
地球温暖化が自然災害を引き起こしているとよく言われるが、このまま いったら地球はどうなるだろう、人間を含んだ生物はどうなるだろうと 不安である。
 
気象学を研究したことも、関係のある仕事をしたこともなく、老齢年金を もらって趣味の日本画を描いて楽しんでいる身分であるが、地球温暖化に ついて、自分なりに一寸考えてみようと思いこの文章を書いてみた。
この頃新聞やテレビで、自然の大規模災害が連日のように報道される。
カリフォルニア州各地で山火事 2万ヘクタールが焼け、建物約500棟が 焼失し、住民約3万人が避難した。
スエーデンでも大規模な山火事が発生しまだ鎮火しない。
インド南部では100年で最悪の洪水に直面し、死者324人に達しなお数千人が 孤立している等々。
 
世界的な猛暑や干ばつにより農産物の収穫が悪化している。小麦は主産国の 欧州やオーストラリアで高温が続き、6年ぶりの減産になりそう。オレンジは、 米国やブラジルで高温や降水不足のため不作の予定である。
 
日本でも気温の上昇のため、長野県や青森県のリンゴが取れなくなる心配があるという。
漁業では海水温度の上昇や海流の変化により、いままでの海域での漁獲が激減少している。
 
活発化する前線の影響で、中国地方や四国で豪雨が続き各地で土砂崩れや河川の氾濫で、 200人以上の死者が出、24万戸で断水が起きている。
 
日本の夏の気温が連日過去の記録を更新し、岡山市でも37、38度が続く。ニュースでは連日各地の 異常高温を報じ、「今までにない高温」「命にかかわる高温」「クーラーを使って熱中症にかからないよう」 と訴える。埼玉県の熊谷では41.2度になって、日本の今までの最高温度と報道。
 
日本を襲う台風の発生数も過去最高でしかも、超大型台風のため、甚大な被害が発生した。
 
気温が1度上がると空気中に含むことができる水蒸気が7%増える。
 
海上気温が上昇し水蒸気を多く含むようになり、それが高温で熱せられ、沸騰する蓋のないヤカンの状態が 海上で作られ、大量の蒸気が上空で大規模で流動する雲をつくる。
台風が多発し、陸上で豪雨をもたらす豪雨雲帯がつくられ集中豪雨を多発させる。
地球規模で気温が上昇しているので今後、台風、豪雨被害が恒常化するだろう。
 
1890年から現在までの間の世界の気温上昇は次の図のとおりである。
 
[CO2濃度]
 
温室効果ガス世界資料センターの解析によると、CO2の2016年世界平均濃度は、前年と比べて3.3ppm 増えて 403.3ppm となっている。
2006年から2016年までの10年間で23ppm増えており、この間の年平均増加は2.3ppmである。
ところが、直近の増加値は年3.3ppmであり、今後10年後の増加は35ppm以上となり、438ppmに なると予想でき、工業化(1750年)以前の平均値とされる 278ppm と比べて 58% 増加することになる
 
CO2は植物の炭酸同化作用によって消費されるが、現在森林による消費量の 2倍以上のCO2が発生しているとされている。消費しきれなかったCO2が毎年空気中に放出され、 世界のCO2濃度を上げているのだ。
2015年12月に成立したパリ協定では21世紀後半には森林などによる吸収量に似合うまで、CO2の 排出量を下げるとされたが、高くなっている気温を押し下げるには、排出量を吸収量と同等まで 低くするだけでは実現しない。
高止まりしている気温が、覆っているCO2層を抜けて大気圏の外に拡散できる程度まで濃度を 低めねばならないだろう。
 
 
[エネルギー消費量]
 
CO2発生の原因となる石炭、石油、天然ガス等のエネルギー消費量は経済成長と共に増えており、 石油換算で 1965年の37億トンから年平均 2.6% 増加し続け、2015年には131億トンに達した。
特に2000年代になってから、アジア太平洋地域では新興国の経済成長急進に伴って、急激な増加になっている。
一方、先進国では経済成長率の鈍化、人口増加率の鈍化、省エネ構造の進展等により、 エネルギー消費量の伸び率は鈍化している。
現在もエネルギーの大部分を石油、石炭が占めているが、石油石炭の単位当たりのCO2排出量は 国や地域により違いがある。なぜなら石油石炭の消費の効率構造に大きなばらつきがあるからだ。
従って、全世界のCO2排出の誘導減少量から石油石炭の消費量の必要減少量 を割り出すことは困難である。
上記でも述べたように、新興国のこれからの工業化によるエネルギー消費量の増加にどれだけ 省エネ構造が実現できるかが、今後のCO2排出削減に大きく関わってくる。
もちろん、先進国においてもなお一層の効率化を追求しなければならないと共に、 先端省エネ技術の世界規模の普及に努めることが求められる。
 
地球温暖化が心配で関係資料を調べていくうちに多くの複雑な問題を解決しなければならないことが 分かったし、CO2の排出削減策を早急に大規模に実行しなければならないと感じた。
 
                       松本義平
 
参考にした資料】
 
*日本経済新聞電子版 2018/8/18
*気象庁 平成29年2月1日 報導発表資料
*気象庁ホームページ 平成30年5月31日更新
*第2章国際エネルギー動向---経済産業省・資源エネルギー庁

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