国の財政はどうなるのか

 我国の財政事情は大変な累積債務を抱えていることはみんな知っておられると思いますが、そ れをどう感じておられますか。
いろんな学者や政治家たちが危険状態とか、問題ないとかそれぞれ理論を述べていて、どれが正 解か迷う状態です。
 問題ない派の人は多額の国債はほとんど日本人が所有しているので、暴落現象は起きないといい、 やってくる償還期限に借り替え債を発行すれば大丈夫と言います。その議論ですと、福祉予算の 膨張も、物価高対策費も国債を発行して乗り切ればいいことになるのでしょうか。そんなことは なんだか手品みたいなかんじがします。
 危険派をとれば高齢化による福祉費用の自然増加には保険料金の引き上げ、防衛費の増加には 各種税金のうち抵抗の少ないものを探して増税する、地方交付金は抑制する、教育費の増加は抑 制する等を行わねばならないでしょう。その結果、やっとやってきた景気の上昇機運が喪失しま す。
 国民は減税を主張する政党を応援し、健全財政を唱える政党の支持率は下降します。国民は国 債発行残高が超高額なのを知らないはずがない。けれども減税を勧める政党を応援する。
原因を二つ挙げてみましょう。
 まず第一は、国家債務の増加は問題ないと認識していること。
マスコミ上やSNSでいろんな専門家が問題ないという議論を発表していますので、少し疑念が残る ものの、財政問題が今すぐ社会問題にならないだろうという安心感を持つこと。
 第二は国家財政問題は専門家が考慮すべき問題で、国民は自分の生活を守ることを優先的に考 えるべきであるという考え。
そうだとしたら専門家の手腕に絶対的な信頼を与えているわけで、専門家(政治家、学者、研 究者)は問題の本質解明をもって国民に応えるべきです。
  
                          松本義平

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